
Uber Eats配達の業務に繋がる費用は経費として計上できます。

「業務に繋がる費用」ってなんぞや?
考え方としては『税務署職員に「売上・事業にどのように結び付くのか?」を明確に説明できるかどうか?』ということになります。
明確に説明するためにはいくつかのポイントがあるので、この辺りを踏まえ、実際の商品を紹介しながら経費計上のポイントを解説していきます。
この記事で経費計上のイメージを掴みとってください!
記事内容
- 経費計上3つのポイント
- 経費にできるもの
- NG!グレーなもの
Uber Eats配達の経費計上3つのポイント
- 家事按分を使う
- 勘定科目は変えない
- 領収書は7年間保存する
それぞれ説明します。
家事按分(かじあんぶん)を使う
ウーバーイーツ配達員は基本的に、家事按分(かじあんぶん)を使い経費の一部を計上することになります。
これは業務とプライベートの両方で利用するものが多いためで、なんでもかんでも100%計上することはできません。
例えば10万円のスマホなら(プライベート50%・事業用50%)となり半分の5万円を経費計上するイメージですね。
按分の計算方法
- 利用面積
- 利用時間
- 利用日数
上の3つから事業とプライベートの割合を決める
➡︎人によって計上できる金額が変わる
1日10時間、配達で8時間スマホを使うならザックリ80%前後(8万円)経費計上して問題ないでしょう。もし配達専用スマホであればもちろん100%計上できます。ただし週1日となると20%〜30%くらい計上するのが妥当。
この割合は「合理的な理由があればその数値をもとにしてOK」とされており、ここでも「税務署の人に「このくらい使ってます!」と明確に説明できるかどうか?」がポイントになります。
按分に該当する経費例
- 自転車・バイク
- スマホ本体台
- 通信費
- etc
業務でしか使わないモノは100%計上⬇︎
例
- 配達用バック代
- 自宅から配達エリアまでの交通費
- 配達用のコインケース
- etc
勘定科目は変えない
例えば、ガソリン代は「車両費」「交通費」「消耗品費」など、どの勘定科目を利用しても大丈夫です。ただし重要なのは「勘定科目を一度決めたら、同じ勘定科目を継続的に使うこと」です。
これは会計のなかの「継続性の原則」という部分にあたり、
- 事業の期間ごとの比較を用意にするため
- 会計操作で利益を操作させないため
継続性の原則の目的
もし途中で勘定科目を変えると

コイツなんかやってそうだな、税務調査してみよう
みたいな流れが考えれますね。
ただし絶対に変えてはイケナイというものではなく、正当な理由があれば変更可能。変える時は年のはじめから1年を通して変更します。
『消耗品費』は継続して計上するものに使わないこと。
例:ガソリン、自転車レンタル代、スマホ料金etc
領収書は7年間保存する

所得金額に関係なく、白色申告の人は領収書の保存期間が5年間と義務付けられています。しかし、帳簿の保存期間が7年間のため、領収書も7年保存すれば迷わなくて済みます。
青色申告はもとから7年間の保存が義務付けられていますが、前々年の所得が300万円以下の場合は5年間です。しかし、こちらも帳簿の保存期間が7年間のため、領収書、帳簿、合わせて7年間保存するようにしましょう。
領収書は7年間保存
青色申告 | 保存期間 | 捕捉 |
---|---|---|
帳簿 | 7年 | |
領収書 | 7年 | |
決算書 | 7年 | |
その他 | 5年 | 請求書、契約書など |
白色申告 | 保存期間 | 捕捉 |
---|---|---|
帳簿 | 7年 | |
領収書 | 5年 | |
決算書 | 5年 | |
その他 | 5年 | 請求書、契約書など |
Uber Eats配達の『経費にできる』もの

経費にするときのポイントは「売上・事業(配達)にどのように結び付くのか?」を税務署の人に明確に説明できるかどうか?です。
- 登録時の交通費
- 自転車・バイクの購入費
- 自転車・バイクのレンタル費用
- 自転車・バイクの修理・部品・ガソリン代
- 車両任意保険料
- スマホ料金
- 配達エリアまでの交通費
- 配達中の駐輪場代
- 洋服代・靴代
- 配達に使うアイテム
登録拠点までの交通費
フードデリバリー登録の拠点までの交通費は100%経費計上できます。
勘定項目の例:旅費交通費
自転車・バイクの購入費
配達で使う車両購入費は経費計上できますが、プライベートでも使うなら『按分』を忘れないようにしましょう。
車両価格が白色申告なら10万円以上、青色申告なら30万円以上の場合、固定資産として減価償却する必要があるので注意してください。
減価償却とは?
30万円のバイクを購入した場合、3年に分け1年目10万円、2年目10万円、3年目10万円『減価償却費』として経費計上します。
白色と青色申告、また購入する車両によって耐用年数が違うので下の表で確認してください。
車両と申告方法別 | 勘定科目例 | 減価償却の耐用年数 |
---|---|---|
自転車10万円未満(白色) | 消耗品費 | |
自転車10万円以上(白色) | 車両運搬具(固定資産) | 2年 |
バイク10万円未満(白色) | 消耗品費 | |
バイク10万円以上(白色) | 車両運搬具(固定資産) | 3年 |
自転車30万円未満(青色) | 消耗品費 | |
自転車30万円以上(青色) | 車両運搬具(固定資産) | 2年 |
バイク30万円未満(青色) | 消耗品費 | |
バイク30万円以上(青色) | 車両運搬具(固定資産) | 3年 |
軽自動車 | 車両運搬具(工程資産) | 4年 |
自転車・バイクのレンタル費用
自転車配達員はドコモのシェアサイクル、バイク配達員なら帝都産業から業務用バイクをレンタルしている人も多いです。
もちろん経費計上できますし、業務のためだけにレンタルしているのであれば100%計上できます。
勘定科目(日単位レンタルの場合):消耗品費
月額で申し込んでいる場合:車両費・通信費

毎月固定で掛かるお金は「通信費」として計上することもできます
修理・メンテナンス・部品代
オイル交換、タイヤ・ベルト・ヘッドライトの交換、自転車のパンクの修理費用、テールランプ代なども経費として認められ、按分は車両の業務利用頻度で考えるのが一般的。
ガソリン代も経費計上できます。
勘定科目は「消耗品費」「車両費」などが適切ですが、捕捉で「部品代」「修理費」「ガソリン代」などで分けておくと確認しやすいうえ、会計上もなお良い書類が作成できます。
捕捉を付けなければならない決まりはないので好みで決められますが、なるべく変更しなくて済むよう、はじめのうちに考えておきましょう。
勘定科目:車両費・消耗品費
車両の任意保険料
車両保険も経費として認められ、車両の業務利用頻度を考え按分してから計上するのが一般的です。
勘定科目:車両費・損害保険料
またバイク、軽自動車の強制保険(自賠責保険)は「損害保険料」で計上します。
スマホ料金
Uber Eats配達員の必須アイテム「スマホ」の月額料金も経費として認められます。
細かい番地まで見られる地図サービス「ゼンリン配達アプリ」などを使っている人で、スマホ料金と合算して支払っている場合、別々に計上することで配達アプリの料金分だけ100%計上することもできます。
勘定科目:通品費
配達アプリ:通信費・新聞図書費
自宅から配達エリアまでの交通費
配達エリアまでの電車賃は経費として計上できます。
Suicaなど交通系電子マネーなら乗車記録を残せて履歴を印字することもできます。領収書の代わりになるので便利です。
勘定科目:旅費交通費
駐輪場代
配達エリアの駐輪場を月極で借りて、エリアまでは電車通勤という人もたくさんいます。これも配達に必要な車両を駐車する場所なので経費として計上できます。
勘定科目:地代家賃
時間貸し、1日単位の駐輪場を借りた場合:旅行交通費
洋服・靴代
配達用の服、配達用の防寒具、配達用の靴なら100%経費として計上できるでしょう。
ただし、Tシャツ、インナー、パーカー、靴下などは「本当に事業用?」となってしまいます。こういったものは事業割合を証明する手段もないため、たとえ配達でしか使っていなくとも按分してから計上しておくのがベターです。
勘定科目:消耗品費
配達で使うアイテム
- スマホ
- ウーバック
- スマホホルダー
- モバイルバッテリー
- 保温シート
- コインケース
- ポシェット
配達で使うグッツはもちろん経費として計上OK。
必須アイテムでなくとも「配達で利用するもの」なら大丈夫です。
勘定科目:消耗品費
【NG & グレー】Uber配達員が『経費にできない』もの『微妙』なもの

経費として認められないNGな経費、グレーな経費を紹介します。
- 交通違反の罰金
- ドリンク代
- 自宅の家賃
- マッサージ代
- 床屋、美容室
交通違反の反則金
進入禁止、スピード違反、信号無視に歩行者妨害、ピック中にペタッとされた人が一番多いかもしれません。
結論を言うと反則金、罰金は経費として計上できません。NGです。

あんなの回避不可能、なんでやねん!
となる気持ちもわかります。
しかし、法律で決まっていること。注意しましょう。
>>国税庁の誰も理解できないわかりにくいHPで家事関連費 第45条の5と45条-5の2を確認する
配達中に飲んだドリンク、小腹が空いたファミチキ
爽やかなイメージが付きつつあるフードデリバリーの配達員、夏場の配達にドリンクは必須ですね。特に昼稼働なら飲まなくても1本持っておいた方が良いと思います。
しかし個人事業主(配達する本人)が私的に飲むドリンク代の経費計上はNG。
1人でする食事や水分補給は業務と関係なく、生きていくために必要不可欠なものと判断されるためです。
「主張できるなら消耗品費でOK」と書かれているサイトを見たことがありますが、是非とも注意してください。
自宅の家賃
- 自宅オンラインにするから
- 自宅で売上を記帳するから
- ウーバックを自宅で保管するから
Uber Eats配達員が家賃を経費として計上するのは難しいと考えるのが無難です。
①は、「自宅で待機することが仕事に繋がるのか?」これを説明できません。
②は、プライベートと事業の区分を明確にすることが難しいため、計上するとなれば「記帳していた事実を記録する」という、なんとも不可解な資料を作成する必要があるようです。もし、明確に分けて利用している(一部屋は完全事業用)などであれば床面積・利用時間に応じて計上できます。
③は、15平米(15㎡)のワンルームにウーバック30cm×60cm=0.18㎡を保管すると考え場合、単純計算で床面積1.2%を占めることになり、家賃10万円なら1,200円を計上しても妥当でしょう。
ただし、白色申告で家賃を計上する場合は、事業部分が50%以上である必要があります。
ウーバックは1.2%なので白色の人は③の理由で計上できません。
勘定科目:地代家賃
マッサージ代
基本的にプロスポーツ選手以外がマッサージ代を経費として計上するのは難しいと言われています。
しかし、電動なし自転車の配達員はなかなかの肉体労働。軽い労働とは到底言えませんね。
専業でやっているガチ勢の人でなら売上を維持するための費用としてマッサージ代を計上できると思われます。
バイク組、副業組、電動付き自転車組は難しいでしょう。
床屋・美容室
身だしなみを整えるのも仕事の一つ。
なのですが
- 配達の売上にどうのように繋がるのか?
- プライベートと事業を明確に分けて説明できるか?
どちらも説明するのが難しく、Uber配達員は散髪代を経費になできないと抑えておきましょう。
まとめ、Uber Eats配達員が知っておきたい『経費』の基本知識
知っておくべき経費のポイント
- 売上・事業にどうのように結びつくのか?を説明できるかどうか?が経費になるかならないかのポイント
- 白色と青色で経費にできる範囲に差がある
- 高額商品は固定資産で減価償却するという考え方がある
- Uber配達員の経費は家事按分を使いこなす必要がある
- 勘定科目はなるべく変更しなくて済むよう設定する
- 継続して掛かるであろう支出は『消耗品費以外」にする
- 領収者、帳簿は7年間保存する